中根速記学校における符号体系

 平成12年5月に東京府認可「中根速記学校」として開校をして満70周年を迎えた。中根速記学校の70年間における符号体系の推移を「中根速記学校における符号体系」としてまとめたものである。完全なものではないが大要をつかめると思う。

 本論に入る前に、中根式の概要から紹介をしたい。これは全国的にも言えることだが中根式の習得者及び指導者でも以外に知られていないので、あえてこの項目を立ててみた。

 中根式の歴史については大正3年5月から昭和4年ごろまでの期間は、機関誌が発行されていないので詳細は不明である。各種の機関誌や文献等によって創案当初のことが断片的に伝えられているのみである。これらの文献等を総合的に分析すると下記のようになる。

 中根式以外の人でも、少しは参考になると思う。(以下敬称を略した)

 

.中根式の概要

 中根式速記法は中根正親(なかね まさちか)が京都帝国大学在学中に創案したものであり、大正3年5月10日の大阪毎日新聞により初めて世に紹介をされた。そうして当時最も進歩的な速記として認められていた熊崎式の創案者・熊崎健一郎が直ちに書を寄せられ「幾多斬新なる法則あるが中にもインツクキの妙用には只管敬服の外無御座候、是等独創的御発明に対し満腔の敬意を表し申し候」と推奨されたが、一知半解者の妄評と異なり、これ以上の権威ある批評はなく、事実、日本語速記の一大鉄則の発見であり、従来の速記とは全然違った独特の新式であった。

 大正4年9月から令弟・中根正世(昭和31年に正雄と改名)が研究を続けて大成に努めるとともに、昭和2年11月に中根速記協会前身である「新日本速記学会」を設立して、同年11月15日に「通俗中根式速記法」を発行した。

 昭和4年7月に「新日本速記学会」を「中根速記協会」と改称し、同月、東京・九段下に「中根速記学院」を設立し、昭和5年5月27日に東京府公認となり「中根速記学校」と改称をして今日に至っている。

 現在、中根速記学校は中根正世の令息・中根康雄(次男)が指導に当たっている。

 中根正世は戦前、全国各地(※樺太、千島列島を除く台湾、朝鮮、満州においても精力的に回っている)の中学校(旧制・現在の高等学校)、戦後は高等学校を中心に速記講演の行脚をして、中根式の普及に努力をした。

 また、昭和33年に「簡易速記法」(現在のスピード・メモ法)を発表して以来、ロータリークラブ、自衛隊、警察でも速記の講演をされていた。記録に残っている講演回数は11,868回である。

 昭和6年12月27日に「第1回全国中等学校中根式速記競技大会」が開催されて以来、戦後は「全国高等学校速記競技大会」(全国大会)として今日まで続けられているが、旧制中学や高等学校速記部の卒業生がプロ速記者として全国で活躍をしている。

 従来の速記は非常に難しく、その必要は認めながらもその習得に多年を要したため広く普及をしていなかった。中根式が発表をされてから速記も一般大衆化し、優秀なプロ速記者が相次いで出て一般文化人の教養として広く全国に普及をしている。

 中根速記協会も昭和33年8月に「中根式速記協会」と改称をされ、現在は中根正世の令息・中根敏雄(長男)が2代目会長を継いでいる。

 以上が中根式の概要である。

 

.年 表

 次に、中根式速記協会及び中根速記学校の歴史を年表で簡単に紹介をしてみたい。

 中根式の活動を大きく分けると

  1)京都時代:大正3年5月10日〜大正8年12月ごろ

     中根正親が創案をし、中根正世が研究を大成し中根式の基盤をつくった時代。

  2)中根正世による全国各地で速記の講演活動

     大正5年から平成5年まで、アマチュア速記の普及をしている。

  3)東京時代:昭和2年1115日〜現在

     中根正世が「通俗中根式速記法」を発行し、昭和4年7月に中根速記学校を開校して本格的にプロ速記者を養成する時代。

     アマチュア速記普及の成果として全国各地の旧制中学校速記競技大会を開催。

明治44年 月 日

 中根正親は第三高等学校在学中に京大嘱託速記者・松川梅賢(田鎖式、若林門下)の英文速記の読み手となり、その後、熊崎式を練習するが、書けずに断念した。 Pitman式から再検討をして研究をいているうちに中根式を完成させた。この間に基本文字を17回入れかえている。

大正3年5月10日

 大阪毎日新聞に、中根正親(京都帝大理工科大学在学中)創案の中根式速記法に関する紹介記事が掲載されていた。

【参考文献】(大正3年5月10日の大阪毎日新聞記事)

〇新案出の速記術、大学生の発明

 京都帝国大学理工科大学の土木科一年生、長崎県長崎市本大工町中根正親(25)は、三高在学中よりの苦学生にて、今は聖護院町上畑酒商、細川初太郎の二階に、ビールの空箱を本棚兼卓子(テーブル)にサイダーの空箱に腰をかけて住まひ居れり。

 同人は、目今、日本に行はるる各様式の速記術を研究し、なほ改良の余地ありと認め、西洋速記術の祖ピットマンの式を日本風に応用することを案出し、実地に応用して好結果を得たれば、山本京大学生監(※学生部長に当たる。山本良吉)聖護院予備学校主辻本光楠氏の賛助を得、九月頃より予備学校内に速記学校を設立すべく、目下準備中なり。此の中根式の速記術は、先年、武田千代三郎氏が発明せる単画式に一歩を進め、且つ、多大の改良を加へしものにして、其特長中の主要なる一、二は

(一)音(おん)の類似せるものには類似せる線を避け、類音の文字の混同せざるやう、安全なる字体を用ふる事。(武田千代三郎氏の式には、ピットマンに許されざる線を用ひあり、不便少なからず、此線は欧州にては、既に六十年前より、速記用線として用ひざる事となれり。)

(二)漢字を音によりて大別すれば、「湖」「他」の如き一音のもの、及び「海」「突」の如き二音のものに大体区別する事を得。而して二音のものの語尾は、大体、インツクキの五音より成れり。されば中根式に於いては、此インツクキ中の一音が語尾となる漢字(音)の書き方を簡単にせり。語尾が、インツクキの音より成る事は、氏の発見なり。而して、此インツクキの語尾を有する漢字を書き現はす時は、語尾の頭部に書く。(即ち、逆に書く。)

 日本にて行はるるガントレット式中、「クチシ」の語尾を現はす時、此逆書法を用ふれども、中根式にては、全部の漢字に之を応用す。

(三)右の結果として、助字の書き方を簡略にする事を得。

(四)ラ行、サ行、タ行、カ行に於いて略記法を用ふ。

 其他特色と認むべきもの少なからず。漢字にして二音より成るものが、二字重なる場合、即ち、「愛国」「大学」「新聞」の如きものの略記法は、京都の速記者中、既に此式を応用しつつあるものありと。

※以上が大阪毎日新聞に掲載された記事である。この「記事」は原文のままであるが、漢字を新字体に直している。

大正3年6月 日

 中根正親が京都市左京区聖護院(しょうごいん)にあった予備校の1教室を借りて中 根式の指導を開始した。

大正3年9月 日

 中根正親が聖護院に「京都速記学校」を設立した。

大正4年9月 日

 この年から中根正世(現名、正雄)が中根式の普及に着手した。

大正5年2月 日

 中根正親が「中根式速記法講解」(全3冊)を京都速記学校から刊行した。

大正5年7月12日〜17日

 中根正世が長崎県立図書館主催「中根式速記講習会」を行った。これを第1回目の講演として、長崎県警察本部、長崎県警察練習所、佐世保署にて講演をした。

大正5年8月 日

 中根正親が第1回中根式速記法講習会を開始した。

大正8年8月22日〜27日

 中根正親が第4回中根式速記法講習会を開催した。このとき森卓明(もり たくみょう)が受講した。このころから速記のすべてを中根正世にゆだねた。

大正8年12月ごろ

 中根正親が「京都速記学校」を閉校した。

大正12年 月 日

 中根正世が「中根式速記文字画」の作成を始めた。

大正13年12月 日

 中根正世が皇后陛下に「中根式速記文字画」献上をした。

大正14年5月 日

 中根正世が摂政宮殿下(※当時皇太子殿下、昭和天皇陛下)に「中根式速記文字画」を献上した。

大正14年10月 日

 森卓明が「中根式速記法一般」を講習会テキスト用として作成をし、京都速記研究所から刊行した。

昭和2年11月 日

 中根正世が中根速記協会の前身である「新日本速記学会」が設立した。

昭和2年11月15日

 中根正世が「通俗中根式速記法」を出版した。

昭和3年4月16日

 中根正世が「通俗中根式速記法」を皇太后陛下、天皇陛下、皇后陛下に献上した。

昭和3年10月13日〜25日

 中根正世が大阪中央放送局よりラジオ速記講座が13回にわたり放送をした。

昭和4年7月 日

 「新日本速記学会」を「中根速記協会」と改称した。

昭和4年7月 日

 中根正世が東京九段下に中根速記学院を設立した。(東京市神田区神保町3−4 九段下ビル3階)

 (現在:東京都千代田区神田神保町3−4 九段下ビル3階)

昭和5年5月27日

 「中根速記学院」を「中根速記学校」と改称した。

昭和6年5月29日

 中根正世の「中根式速記文字大講演会」が朝日新聞社講堂で行われた。

昭和6年12月27日

 東京で第1回全国中等学校中根式速記競技大会が開催された。選手は18名だった。

※戦後は学制改革により「全国高等学校中根式速記競技大会」となり、その後、「全国高等学校速記競技大会」として今日まで続けられている。

昭和6年12月28日

 森卓明が「超中根式速記法」が京都速記研究所から刊行した。

昭和7年7月11日〜8月6日

 中根正世が台湾放送局より全島にラジオ速記講座が12回にわたり放送をした。

昭和7年12月 日

 第1回全国中根式選手権大会が開催をされた。福岡商業の石村善左(禧行)が優勝をした。学生以外に一般も参加ができた。

昭和23年8月22日

 第18回大会より「全国高等学校中根式速記競技大会」と改称した。

昭和28年10月 日

 中根式速記検定試験制度が定められ、実施した。

昭和29年5月7日

 中根正世の速記に関する講演がNHKテレビで放送をされた。

昭和30年8月7日

 中根式創案40周年・中根速記学校創立25周年記念式典が東京大学構内で行われた。

昭和30年9月1日

 中根速記協会から「中根式速記」40周年記念号が発行された。

昭和31年4月1日

 中根速記協会機関誌「中根式速記」が「速記時代」と改題をした。

昭和33年8月 日

 「中根速記協会」を「中根式速記協会」と改称した。

 中根正雄が平仮名、片仮名による「即席速記法」を創案した。

 現在名:スピード・メモ法

昭和40年8月1日

 第35回大会より「全国高等学校速記競技大会」と改称されて、中根式以外でも参加ができるようになった。

昭和44年3月30日

 第1回「全国高等学校選抜大会」を開催。今日まで続けられている。

昭和44年11月 日

 中根式速記協会の検定試験制度が改正された。

昭和49年8月3日

 中根式速記発表60周年記念式典、祝賀パーティーが市ケ谷の私学会館で行われた。

昭和50年3月30日

 中根式速記協会総会で検定試験要項改正、指導者認許制度、段位認定制度、速記教室 開設・運営制度が検討をされた。

昭和50年6月 日

 検定試験要項が改正をされ、初の検定試験が実施された。

昭和50年11月 日

 指導者認許制度、段位認定制度、速記教室開設・運営制度が実施された。

昭和53年4月10日

 中根洋子逝去。79歳。

昭和59年8月4日

 中根式速記発表70周年記念式典、祝賀パーティーがホテル・グランドパレスで行われ た。

昭和59年8月16

 中根正親逝去。95歳。

平成5年8月22

 中根正雄逝去。98歳。

平成6年 月 日

 中根式速記協会二代目会長に中根敏雄(長男)が就任をした。

 中根速記学校理事長に中根康雄(次男)が就任をした。

平成6年7月30日

 中根式速記発表80周年記念式典、祝賀パーティーが九段会館で行われた。

 

.中根速記学校の概要

 中根速記学校は昭和4年7月に「中根速記学院」として設立をされた。昭和5年5月27日に東京府認可「中根速記学校」と改称され、戦後は東京都認可「中根速記学校」として現在に至っている。

 平成12年に、昭和5年5月27日に東京府認可「中根速記学校」として設立されてから、満70周年を迎えた。

 中根速記学校の符号体系については、卒業生以外には余り知られていない。中根速記学校以外で中根式を習得した人達でさえ、中根正世の符号体系と同じだと思っている人が多くいる。

 中根速記学校では、開校当初は中根正世の符号体系(通俗中根式速記法)から出発をしている。昭和7年10月に池田正一が中心になって「研究会」を組織して、中根速記学校独自の体系が次第に確立をされた。中根速記協会機関誌「中根式速記」(後に「速記研究」と改題)に発表された新法則があり、機関誌に発表をされなかった法則が中根速記学校内で指導をされてきた。

 戦後の中根速記学校では、池田正一の符号体系と江森武の符号体系が同時期に指導をされていた。

 昭和54年4月から中根康雄の符号体系が指導をされ今日に至っている。

 

.中根速記学校の年表

 中根速記学校の符号体系について簡単な年表で紹介をしてみよう。

昭和4年7月 日

 中根正世が東京市神田区神保町3−4 九段下ビル3階 に「中根速記学院」として設立。(現在の東京都千代田区神田神保町3−4 九段下ビル3階)

 1)昭和54年4月ごろ

  東京都千代田区九段北1−4−7 悠山九段ビル に移転

 2)平成10年7月ごろ

  東京都千代田区三崎町2−4−12 に移転

昭和5年5月27日

 東京府認可「中根速記学校」と改称。

昭和7年10月 日

 池田正一が中心になり「研究会」を組織した。

 (池田正一、荒要、野田一郎、土田利雄、佐藤?、斎藤発智良、和田?)

 その前後に、中根速記協会機関誌:中根速記(後に「速記研究」と改題)に新法則が逐次発表をされた。(以下、中根速記学校関係分のみを掲載)

昭和6年5月号:〇ウ〇ウ(中根正世)

昭和6年12月号:特殊略法(中根正世)※交差法

昭和8年5月号:万能縮字(中根正世)※和語省略法(実用化されず)

昭和11年5月号:〇ッ〇リ(中根速記学校)

昭和11年12月号:加点インツクキ法(中根正世)

昭和16年3月号:加点字省略考(中根速記学校:北村薀雄)※ウスヌムル

昭和24年6月号:助詞、〇イ〇イ、〇ン〇ン(池田正一)

昭和24年8月号:ウスヌムル(池田正一)※北村薀雄とは「ウヌ」の書き方が違う。

昭和26年10月号:第二助詞(中根速記学校)※江森武?と思われる。

昭和26年11月号:特殊上段(中根速記学校)※江森武?と思われる。

昭和31年5月号:「あります」などの略字考(池田正一)

などがある。

 また、中根速記学校内では、機関誌に発表をされなかった独自の省略法も指導をされている。

 例を挙げれば、最小線、特大線、極大線、冠上法、抄下法、ヒモガキ法、接触動詞、漢音省略法等々がある。

昭和53年4月10日

 中根洋子が逝去されてから、5月に西宮純一郎が退任し、続いて7月20日に池田正一、江森武、秋本清司が退任をした。

昭和53年9月1日

 中根康雄が学校の運営に入った。

昭和54年4月15日

 中根康雄の符号体系が指導されて今日に至っている。

 

.符号体系における推移

 中根速記学校で指導をされてきた符号体系は、大きく下記の3つに分けられる。

 1.昭和4年7月から昭和7年9月に指導された符号体系は中根正世の体系(通俗中根式速記法)である。

 2.昭和7年10月に池田正一が中心になって「研究会」が組織されて、中根速記学校内で独自の体系が研究され始めた。

  1)森卓明が昭和6年12月に発表した「超中根式速記法」の体系はほとんど取り入れられなかった。

  2)その後、新法則が機関誌に発表をされたが、機関誌に発表をされていない法則が中根速記学校内で指導をされた。

  3)新法則は機関誌に発表をする以前に、実験的に指導をされていたことが推測できる。

  4)戦後は、池田正一が中心になって、中根速記学校独自の体系が指導をされたが、池田正一の体系と江森武の体系は別の体系である。

  5)江森武の完全な体系を習ったのは、昭和52年4月入学生が最後である。

※戦前の体系と戦後の体系とは異なりを見い出せる。

  戦前:

  1)池田正一の体系と北村薀雄、曲尾啓之助の体系は別の系統である。

  2)川村秀蔵が指導をしたのは中根正世の体系(通俗中根式速記法)である。

  戦後:

  1)池田正一の体系が指導をされた。

  2)江森武が指導をした体系は、川村秀蔵、北村薀雄、曲尾啓之助の体系を折衷した系統である。

  3)西宮純一郎が指導をしたのは池田正一の体系である。

 3.昭和54年4月から、中根康雄によって指導をされている符号体系は、従来、中根速記学校(池田正一の体系、江森武の体系)で指導をされた符号体系や中根正世の体系とは異なっている。

  中根正世の体系を基礎に森下等、植田裕、稲垣正興、池田正一の体系を部分的に取り入れて折衷をしている。

 

.使用をされた教科書類

 中根速記学校で使用をされていた教科書の期間が下記のとおり推定ができる。

 また、使用をされていた教科書によって基本的な符号体系の内容についても、ある程度の推定ができる。

 中根正世及び中根洋子の著作は普及用に作成をされた教科書である。

 1.期間:昭和4年7月〜昭和22年5月

  中根正世著:通俗 中根式速記法(昭和2年1115日発行)

 2.期間:昭和22年6月〜昭和27年3月

  中根正世著:中根式速記講座 上巻 中巻 下巻(昭和22年5月20日発行)

 3.期間:昭和27年4月〜昭和32年3月

  中根正世著:中根式速記(昭和27年4月発行)

 4.期間:昭和32年4月〜昭和53年7月

  中根洋子著:中根式速記の基本教程(昭和31年12月25日発行)

  1)中根速記学校では、年代によって多少の違いはあるが、上記における教科書を基本体系にして、新しく発表された省略法を指導していたことが容易に推測できる。

  2)同じ先生に指導を受けた生徒でも、年代によっても体系には多少の違いが見られる。

  3)戦後の中根速記学校では、上記の教科書を基本体系にして、池田正一、江森武、西宮純一郎が板書及び練習問題朗読を通して各自の細かい体系を指導している。

  4)昭和44年から昭和52年に指導をされた体系は、下記のとおり卒業生のノート(現物及びコピー)が完全な形で残っている。

   「菅原 登のノート」(昭和44年4月入学)指導:池田正一(夜間部)

   「横溝武雄のノート」(昭和49年4月入学)指導:池田正一(昼間部)

   「根岸幸子のノート」(昭和49年4月入学)指導:西宮純一郎(夜間部)

   「水木能子のノート」(昭和52年4月入学)指導:江森 武(夜間部)

   「渡辺芳子のノート」(昭和53年4月入学)指導:江森 武(夜間部)

  5)菅原 登のノートと横溝武雄のノートにおける符号体系を照合すると大体一致をしている。

  6)根岸幸子(ねぎし ゆきこ)のノートは、符号体系で欠落をしている部分もあるように見受けられる。

  7)水木能子(みずき のうこ)のノートは、本人にも確認をしているので、符号体系として欠落をしている部分はない。

  8)渡辺芳子のノートは江森武の符号体系の途中までであるが、水木能子のノートと照合すると一致をしている。

  9)昼間部と夜間部の授業時間は2時間で全く同じであり、指導をされた符号体系は、ほぼ同一のものと推定ができる。

  10)昭和44年から昭和52年の中根速記学校では前期(4月〜9月)の期間に符号体系の指導がほとんど終了をしている。

  11)教科書には掲載をされていない、口語体の砕けた書き方については、基本形+変化形の形で詳しく指導している。

  12)中根速記学校の詳しい符号体系は中根式関係者でも卒業生以外には余り知られていない。(符号体系が門外不出だと聞いた記憶がない)

 5.期間:昭和53年9月〜現在

  中根康雄著:速記マスターノート 上巻(昭和48年6月25日発行)

  中根康雄著:速記マスターノート 下巻(昭和50年4月5日発行)

  中根康雄著:全国速記検定試験5段合格への道(昭和57年2月発行)

  中根康雄著:プロ検定1級合格への道(昭和57年2月発行)

 

.使用教科書における符号体系

 中根速記学校で使用をされた教科書における符号体系は下記のとおりであり、教科書以外の符号体系は新法則が発表されるごとに指導をされたものと推測ができる。

 

通俗中根式速記法

中根正世著

昭和2年11月15日発行

新日本速記学会(後に発行所は「中根速記学校出版部」となる)

1.清音               12.上段

2.ン                13.下段

3.濁音               14.中間小カギ

4.半濁音              15.最大線

5.長音               16.特殊略法

6.拗長音                1)特殊上段

7.拗短音                2)特殊下段

8.繰り返し               3)繰り返し

9.インツクキ(詰音も含む)       4)章句省略、年月日

10.助詞                 5)基本文字応用

11.コソアド               6)加点助動詞法

 

中根式速記講座 上巻 中巻 下巻

中根正世著

昭和22年5月20日発行

中根速記学校出版部

1.清音               14.下段

2.濁音               15.中間小カギ

3.ン                16.特殊交差法(2)

4.半濁音              17数字

5.長音               18.インツクキ法

6.拗長音              19.その他

7.詰音                 1)連続加点文字

8.拗短音                2)連続助詞

9.最大線                3)1音繰り返し

10.特殊交差平行法(1)         4)特定ノデアリマス

11.大カギ省略法             5)基本文字応用

12.助詞                 6)加点法(※加点助動詞)

 

中根式速記法

中根正世著

昭和27年4月 日発行

中根速記学校出版部

1.清音               13.特殊交差平行法

2.ン                14.中間小カギ

3.濁音               15.インツクキ法

4.半濁音              16.その他

5.詰音                 1)年号、数字

6.長音                 2)加点文字(ウスヌムルの代字)

  1)普通長音             3)連続助詞

  2)特別長音(拗長音)        4)1音の繰り返し

7.拗短音                5)特別ノデアリマス

8.最大線                6)上段活用

9.助詞                 7)下段活用

10.上段                 8)基本文字応用

11.下段                 9)加点助動詞法

12.両大カギ省略

 

 中根正世の「通俗中根式速記法」「中根式速記講座」「中根式速記」の3著における法則の順序を比較してもらいたい。特にインツクキ法の順序に注目をしてもらいたい。

 インツクキ法を符号体系のどの辺で出すかによって、指導をする符号体系の組み方が変わってくる。

 つまり、基本文字が終わった段階でインツクキ法を指導をすることが望ましい。法則との関連により上段、下段、最大線、中間小カギ、交差法に大きく影響をしてくる。上段、下段、最大線、中間小カギ、交差法ではインツクキ法を応用した書き方が出てくる。

 

中根式速記の基本教程

中根洋子著

昭和31年12月25日発行

中根速記学校出版部

1.清音                 1)アリマス

2.濁音                 2)ゴザイマス

3.半濁音                3)アル オルその他

4.ン                  4)ノデ省略

5.繰り返し               5)ナイ、シナイその他

6.加点字                6)デハ省略

7.詰音                 7)ナカッタ、シナカッタその他

8.長拗音              13.畳音その他

  1)長音             14.上段

  2)拗長音            15.下段

9.詰音               16.最大線

10.インツクキ法           17.符省法

  1)ラ行省略           18.交差平行法

  2)下段略字           19.節音法(※中間小カギ)

11.助詞               20.数詞

12.動詞

 教科書(中根式速記の基本教程)以外の法則で、池田正一及び江森武が指導をした符号体系は下記のとおりである。特に下線を引いた部分は池田正一と江森武の異なりを示している。

 

中根速記学校本科(菅原登のノート)

指導:池田正一

昭和44年4月入学生

1.清音               18.エ列イ音省略

2.濁音               19.加点助動詞

3.ン                20.○ッ○リ

4.半濁音              21.ウスヌムル省略

5.詰音               22前符号応用特定略字

6.長音               23.最大線

7.拗長音              24.符省法

8.拗短音              25.交差・平行法

9.繰り返し             26.節音法(※中間小カギ)

10.加点字              27.冠上法

11.インツクキ法           28.抄下法

12.助詞               29.ヒモカギ法

13.最小線              30.極大線

14.動詞               31.漢音省略法

15.上段               32.平行法

  1)一般上段           33.加点インツクキ法

  2)特殊上段           34.数詞

16.下段               35.後句省略法

17.接触動詞

 

中根速記学校本科(水木能子のノート)

指導:江森 武

昭和52年4月入学生

1.清音               15.特大線

2.濁音               16.極大線

3.半濁音              17.最小線

4.ン                18.ウスヌムル省略

5.加点文字             19.数詞

6.詰音               20.ラ行省略

7.長音               21.下段

8.拗長音              22.上段

9.拗短音              23.四字詰音(※〇ッ〇リ)

10.インツクキ法           24.加点助動詞

11.助詞               25.中間小カギ

12.こそあど             26.連続交差法(※ヒモガキ法)

13.動詞               27.符省法

14.最大線              28.特殊交差法

 

 昭和32年4月から昭和52年4月までの期間は上記のように、「中根式速記の基本教程」を基本体系として池田正一の符号体系及び江森武の符号体系を上乗せした形で指導をされていた。

 

中根速記学校本科(上記の教科書)

指導:中根康雄

昭和54年4月入学生

1.清音               14.チ音

2.濁音               15.キ音

3.半濁音              16.上段

4.ン                17.下段

5.促音               18.よく出る言葉の省略

6.長音               19.交差法

7.拗長音              20.中間小カギ法

8.拗短音              21.符省法

9.イ音               22.各行縮記法

10.最大線              23.加点法(※加点助動詞)

11.助詞               24.外来語

12.ク音               25.順記法

13.ツ音               26.類似音、音便、方言などの活用法

 

 

速記界におけるペンネーム考

 我が国の速記界では、先人たちがいろいろなペンネームを使っている。

 特に、田鎖綱紀の戯号「楳の家元園子(うめのや もとぞのし)」は日本速記年表に掲載をされているほど有名である。福岡隆著「日本速記事始」によると、

 田鎖綱紀が下宿をしていた元園町から取った戯号である。三橋家のあった元園町1丁目24番地は、現在の千代田区麹町2丁目10番、ワールド東京支店付近と推定される。

と書かれている。

 我が国の速記界では、その後いろいろなペンネームが登場すると思うが、私の手元には古い資料がないので省略をして、時代を昭和20年から平成12年に絞ってみたい。

 まず私の手元にある資料から拾ってみた。

1.中根式関係

 1)中根速記協会機関誌「中根式速記」

 2)中根速記協会及び中根式速記協会機関誌「速記時代」

 3)中根速記協会香川県支部機関誌「美しき線の流れ」

 4)中根速記協会研究誌「ステノ」

※「中根式速記」は昭和24年4月1日に復刊第1号を発行してから昭和31年3月号(第75号)まで発行をしている。昭和31年4月号から「速記時代」の第1号と改名をして昭和62年9・10月号(第408号)まで発行をしている。

 平成7年5月10日に「速記時代」の「中根式速記発表80周年記念会特集号」を発行して、現在は休刊中である。

2.社団法人日本速記協会機関誌「日本の速記」は昭和43年1月号(第388号)から、現在まで発行をされたもの。

3.速記教育研究所機関誌「LA STENO 速記」は昭和53年1月号(第1号)から昭和57年9月号(第35号)まで発行をされたもので、現在は休刊中である。

4.同人誌「ASTY」は平成8年10月号(第1号)から平成13年3月号(第52号)まで発行をされたもの。なお、「ASTY」は現在も発行中である。

5.単行本

 以上の資料から、ペンネームを収集して分類をした。

1.当て字を使ったものには、

  鈍木朋定(ドンキホーテ)、捨野愚良夫(ステノグラフ=ステノグラフィ)、荘戸繁土、松杜繁土(ショートハンド)、上談下談(じょうだんかだん=上段、下段)、渓 行正(けいこうせい=稽古せい)などがある。

 「捨野愚良夫」「荘戸繁土」「松杜繁土」は速記(Stenography=ステノグラフィ、Shorthand=ショートハンド)をそのまま使っている。

 「上談下談」は速記の省略法名を使っている。

2.全く意味が不明のものには、

  とろいめん、倶忘庵(くぼうあん?)、白茅(はくぼう)、夢野 漠(ゆめの ばく)などがある。

 「夢野 漠」は“中国で、ばくは人の悪夢を食うという想像上の動物”の意か。

3.実名かどうかわかりにくいものには、

  滝 鞍二(たき くらじ)、速水研一郎(はやみ けんいちろう)、園内雄三(そのうち ゆうぞう?)、品川弥次郎(しながわ やじろう)などがある。

 「滝 鞍二」は恐らくタキグラフィ(Tachygraphy)=タキグラフからきているのではないかと思われる。最近の「日本の速記」や「ASTY」などに忘れたころ登場をしているが、中根式関係者とだけは判明をしている。

 「速水研一郎」は実名かどうかわからないが、速記研究を略して「速研」を使っているのか不明である。速水という姓もあるし、新潟県に北原研一郎(中根式)さんが実在している。最近の「ASTY」にも登場をしている。

 「園内雄三」は実名かペンネームか不明である。最近の「日本の速記」や「ASTY」などによく登場している。

 「品川弥次郎」は、荒井庚子郎(こうしろう)さんが東京都品川区に住んでいたので、「品川」から大いに「ヤジろう」という語呂合わせである。

 明治時代に長州出身の政治家で「品川弥二郎」が実在をしていた。

4.本名の一部を使ったものには、

  星野速水(ほしの そくすい?、はやみ?)、西沢天雲(にしざわ てんうん)、田鎖雷峰(たくさり らいほう)、池田東穂(いけだ とうほ)などがある。

 「星野速水」は星野義男さんのペンネームである

 「西沢天雲」は西沢政之さんのペンネームである。

 「田鎖雷峰」は田鎖源一さんの短歌や俳句の雅号である。

 「池田東穂」は池田正一さんの短歌や俳句の雅号である。

5.地名を使ったものには、

  浦和速男(うらわ はやお)がある。浦和は埼玉県の県庁所在地である。星野義男さんのペンネームである。

6.明らかにペンネームとわかっているものには、

  花木かおる、花樹 薫(はなき かおる)は、中根式関係では知られている星野義男さんのペンネームである。意味は読んで字のごとしである。

出典は最初に掲載をされた機関誌関係である。

中根式関係

 とろいめん(昭和25年3月号/中根速記協会機関誌「中根式速記」/江森武、元・中根速記学校教授、故人)

 鈍木朋定(昭和29年4月号/中根速記協会香川県支部機関誌「美しき線の流れ」/植田 裕、香川県立高松商業速記部顧問を経て、現在は東京で速記実務及び中根式の研究に励んでいる)

 捨野愚良夫(昭和32年8月/中根速記協会研究誌「ステノ」/植田裕)

 荘戸繁土(昭和32年8月/中根速記協会研究誌「ステノ」/植田裕)

 倶忘庵(昭和29年7月号/中根速記協会機関誌「中根式速記」/?)

 上談下談(昭和32年8月号/中根速記協会機関誌「速記時代」/?)

 浦和速男(昭和34年1月号/中根速記協会機関誌「速記時代」/星野義男、中根速記学校出身、作家)

 星野速水(昭和3510月号/中根速記協会機関誌「速記時代」/星野義男)

 花木かおる(昭和39年1月号/中根速記協会機関誌「速記時代」/星野義男)

 花樹 薫(昭和41年1月号/中根速記協会機関誌「速記時代」/星野義男)

 滝 鞍二(昭和45年3・4月号/中根速記協会機関誌「速記時代」/?)

「日本の速記」関係

 西沢天雲(昭和43年6月号/西沢政之、元・中根式速記協会滋賀県支部長、故人)

 田鎖雷峰(昭和44年1月号/田鎖源一、田鎖綱紀の孫、田鎖式3代目、故人)

 池田東穂(昭和46年1月号/池田正一、元・社団法人日本速記協会副会長、元・中根速記学校教授、元・中根式速記協会副会長、故人)

 品川弥次郎(昭和57年4月号/荒井庚子郎、元・社団法人日本速記協会会長、元・東京速記士会会長、故人)

 夢野 漠(昭和5711月号/?)

 園内雄三(平成11年5月号/?)

LA STENO 速記」関係

 渓 行正(昭和53年1月号/?)

 白茅(昭和53年5月号/?)

「ASTY」関係

 速水研一郎(平成11年12月号/?)

「単行本」関係

 松杜繁土(昭和42年6月1日/速記の初歩から/参議院式/紺谷赫(あきら)、元・参議院速記者養成所教授)

 以上のように、だれのペンネームか判明をしているものもあるが、ペンネームか実名かわからないものさえある。さすがに速記関係者だけあり、ペンネームをうまく考えると関心をさせられている。

 速記界ではこのほかにも、ペンネームがあると思っている。原稿を書くときには、実名で書くよりも、ペンネームの方が本音で言いたいことも書けるのではないかと思っている。幾ら言論の自由といえども、ペンネームで個人や団体の中傷を書くことは邪道である。

 

 

生涯学習インストラクターへの道程

はじめに

 社団法人日本速記協会では、平成2年11月1日の通常総会から「生涯学習」という言葉を使い始めており、その後、毎年の事業計画案では「生涯学習」及び「国民皆速記」という言葉が盛んに使われている。

 「生涯学習」については、会員のほとんどが「生涯学習」という言葉を概念的にとらえている程度ではないだろうか。

 平成11年4月中旬だったと思うが、北海道新聞に「生涯学習指導者養成講座」の広告が掲載をされていた。

 文部省認定社会通信教育「生涯学習指導者養成講座/生涯学習ボランティアコース」は、財団法人実務教育研究所(〒163−8660 東京都新宿区大京町4番地)が実施している唯一の通信教育である。

 私は「生涯学習とは一体どのようなものなのか」という素朴な疑問から、財団法人実務教育研究所から「生涯学習指導者養成講座/生涯学習ボランティアコース」の「受講案内書」を取り寄せた。

 平成11年4月27日に財団法人実務教育研究所から23ページの「受講案内書」が届いた。

 まず、実施機関である「財団法人実務教育研究所」について「受講案内書」から紹介をしてみたい。

 財団法人実務教育研究所は、昭和25年12月に文部省認可法人として設立以来、主として成人を対象にしてみずからの能力を、みずからの意志によって向上し続ける学習者に対して、文部省認定社会通信教育によって学習の機会を提供してまいりました。

 これらの活動を通して、我が国の教育課題となっている生涯学習推進の場でお役に立ちたいと考え、数年来、調査・研究を進めてまいりました。

 その結果、平成元年4月に「生涯学習指導者養成講座/生涯学習ボランティアコース」開講をする運びとなりました。

 それでは「生涯学習」について「受講案内書」から主な内容を紹介してみたい。

 文部省審査に合格をした本講座の学習成果を活かして生涯学習の輪を広げましょう

 生涯学習社会へ移行していく上で、学習したい人のお世話をする生涯学習指導者の活動は最優先課題です。

 本講座で学んだ成果を活用して、学習者の支援活動をしませんか。生きがい、自己実現が図られ、学習者の皆さんから感謝されます。今、あなたの活動が期待されています。

 生涯にわたって学び続ける社会/学びを通して連帯感や触れ合いを/あなたの支援活動が必要です/知識、技術、態度を養うことが大切

 

生涯学習社会について

 生涯学習に視点を合わせて、それぞれの立場で学習することが大切です

 学習は学生時代で終わりではありません。それぞれの立場で生涯学習に視点を合わせて学習することが大切です。その成果を地域で活用しませんか。

 生涯学習に関心を持たれている方に/生涯学習活動をされている方に/一般企業に勤務されている方に/行政で生涯学習を推進されている方に/学校に勤務されている方に/学生で生涯学習に関心のある方

 全国市町村の養成事業に導入されています

 

学習指導委員からのメッセージ

 あなたをお迎えして−私たちが長年、蓄積してきた研究成果をお届けします

 4名の学習指導委員の先生を中心として、行政担当者、学者、研究者など、我が国の生涯学習の専門家43名が結集して企画編集・執筆がなされました。自宅にいながら、各先生の研究成果を学習することができます。

   学習成果を他の人に「おすそ分け」を(川村学園女子大学 教授 岡本包治)

   自分自身の学習をしませんか(佛教大学 教授 白石克己)

   教育は学校の専売品ではありません(帝京大学 名誉教授 林部一二)

   学習希望者に援助する心が必要です(筑波大学 教授 山本恒夫)

 

テキスト及び学習内容

 あなたの学習意欲におこたえした内容が体系的に修得でき、生涯学習社会が見えてきます

 「生涯学習が体系的に理解できたことは大きな成果です」修了者からこんなお便りが寄せられます。各学習単元が関連し、体系的に修得できます。その成果が、あなた自身の向上と自信に結びつくでしょう。今が学習の機なのです。

 生涯学習ボランティアコース ガイドブック(A4判 47ページ)

 生涯学習ボランティアコース 生涯学習用語集(A5判 98ページ)

 テキストの本文中に出てくる用語や関連する用語を、受講者にとって特に必要なものをまとめて解説をしている。

※講座修了後も用語を調べるのに重宝している。私には必携の書である。

 第T単元 生涯学習とボランティア活動(A4判 123ページ)

 @現代社会とボランティア A学習ボランティア活動の方法 B学習ボランティアの活動 C学習ボランティアの養成と活用

 全国各地に展開される活動事例を通して、生涯学習社会における学習、ボランティア活動のあり方を知る。

 ボランティア活動は奉仕とか自己犠牲ではなく、その活動を通して他者とともに自己の成長となる「学び合い」に注目したい。地域の生涯学習が生きがい充足となる。

 第U単元 生涯学習の方法(A4判 119ページ)

 @生涯学習の原理 A個人学習の基本 B集団学習の基本 C生涯学習の展開

 生涯学習はいろいろな方法がある。その中で基本となる個人学習と集団学習の特質を知る。

 後半では集団学習におけるリーダーシップ、メンバーシップのあり方を通してグループ学習を学ぶ。また、公民館、図書館、博物館を利用した学習活動のあり方について学ぶ。

 第V単元 学習メニューと学習プログラム(A4判 121ページ)

 @学習メニュー方式による学習 A学習メニューの作成 B学習プログラムの作成 C学習プログラムの作成

 利用できる学習機会・方法・手段の中から学習者自身が選択してみずからの学習計画を作成するのを学習メニューという。学習プログラムとは学級・講座などの行事計画を立案すること。

 それぞれの特徴を知り、具体的な作成方法も学ぶ。

 第W単元 生涯各期の学習と教育(A4判 159ページ)

 @乳幼児期と少年期の教育 A青年期の学習と教育 B成人期の学習と教育/婦人の学習と教育 C高齢者の学習と教育

 広範囲の年代層が参加する生涯学習社会。指導者活動をする場合、人生各期の特徴を生かした学習援助が必要となる。

 乳幼児期から高齢期までの特徴や学習援助は当然、異なる対応が望まれる。成人期、女性の学習については第@単元で詳しく学習を進める。

 第X単元 成人教育と学習の理解(A4判 127ページ)

 @成人の発達 A成人教育の原理 B成人の生活と学習 C成人の学習構造

 成人は子供と異なる生活環境や心身の発達特徴、能力を有している。

 これらを生かした成人学習援助をアンドラゴジーといい、世界各国で研究が進められている。

 成人期の学習能力から学習構造の実態、学習傾向、学習目標などについて広い範囲に及んで学習する。

 第Y単元 生涯学習と生涯教育(A4判 149ページ)

 @生涯学習への道 A生涯教育論の系譜 B我が国の生涯学習の施策と動向 C地域における生涯学習の展開と課題

 学校中心の教育から生涯にわたる教育体系に移行した生涯教育論の系譜を知る。歴史的変化である。

 その上で、我が国の施策・動向地域における生涯学習の展開や課題を学ぶ。生涯学習ボランティアとして、学習情報の提供、学習相談、まちづくりまでを学んでおく。

 以下、学習教材/学習システム/先輩からあなたへのメッセージ/修了証書と表彰

などについて書かれていた。

 私は「受講案内書」を読みながら、速記教育を考えるためには、何か参考になるかもしれないという漠然とした考えを持ち始めていた。

 私も仕事が忙しかったので受講の申し込みを忘れていた。平成12年2月7日に第3回目の「受講案内書」が届いた。

 私が講座の内容で、特に興味を持ったのが「第V単元/学習メニューと学習プログラム」である。速記の指導計画書を作成するためには、何か参考になるのではと考えていた。

 

生涯学習ボランティアコースを受講

 私は昔から速記に関係があると思えば、何でも首を突っ込むことが大好きなので、平成12年2月15日に「生涯学習指導者養成講座/学習ボランティアコース」を受講した。

 学習期間は6カ月間であり、さらに3カ月間の学習延長も認められていた。

 私は高校時代に財団法人早稲田速記普及協会・文部省認定社会通信教育「早稲田速記講座/総合技術課程」及び東京・中根速記学校通信教育「本科課程」を修了しているので、通信教育における学習方法を知っており、「生涯学習指導者養成講座/生涯学習ボランティアコース」も修了ができると考えていた。

 各単元のテキストには学習目標、復習問題、重要語句と注釈、学習の自己診断などがあり、各項目ごとの本文に入る前には、必ず導入部分に対話形式を導入しており、学習目的と学習概要が把握できるように工夫がされていた。

 最初の1日目でテキストを全部読んで、2日目に「報告課題」を作成した。マルバツ式や、空白を埋めるものである。つまり各単元で重要なところは「復習問題」、「チェック」、「報告課題」などを見ればわかるので、そこを重点的に学習しただけである。そして第Y単元までの学習は順調に進んだが、最後の「修了報告課題」は、私が最も苦手な「レポート提出」だった。

 テーマ1.私とボランティア活動

    2.通信教育の学習を通して得たこと

 ※なお、受講の動機、学習の方法、教材及び学習指導についての感想等は、適宜折り込んでください。

 私は「テーマ2」を選んだ。指定の原稿用紙(1行18字×20行)に3枚程度(約1,080字)である。内容を考えるのに3日間かかり、ワープロで原稿を作成してから、指定をされた提出用の原稿用紙に手書きで書いた。

 「報告課題提出表」の“学習記録”には提出年月日が残っているので紹介をしてみたい。

        報告課題提出日   報告課題返送到着日

  第T単元 平成12年3月27日  平成12年4月13

  第U単元 平成12年4月14日  平成12年4月27

  第V単元 平成12年5月2日   平成12年5月18

  第W単元 平成12年5月19日  平成12年6月1日

  第X単元 平成12年6月17日  平成12年7月6日

  第Y単元 平成12年7月16日  平成12年8月13

  修了課題 平成12年7月16

  修了認定 平成12年8月11

 私には速記の通信教育と比較をすれば、実技が伴わないので余り苦労もしないで平成12年8月11日付で修了をした。

 また「質問提出表」には「質問用紙」が8枚ついていたが、私は「質問提出表」を1回も提出をしていない。私はテキストを読んでわからなければ、何回でも読むことにしている。それでもわからないときに、初めて質問をすればよいという考え方を持っている。

 財団法人実務教育研究所の機関誌「道標」(毎月発行)には、「紙上教室」という欄があり、統計講座、校正実務講座、生涯学習講座の受講生が質問をしているので、それを読めば理解ができると思っている。

 私は講座修了後も「道標」を定期購読している。最新情報や各講座修了生の活動報告などが掲載をされている唯一の情報源である。

 財団法人実務教育研究所の通信教育には「修了生登録制度」があり「修了生登録表」を提出することになっている。

 「修了生登録表」には「ボランティア活動の経験、お持ちの資格・特技の内容、今後の抱負等についてご記入ください」という項目があった。

 私の持っている資格・特技と問われても「速記」以外には何もないので、速記に関する資格を書いた。

 抱負は「速記教育及び速記指導法の研究に役立てたいと思っております。速記関係の資料作成にも参考になると思っております」と書いた。実際問題として私の場合は、この程度のことしか書きようがなかった。

 財団法人実務教育研究所「生涯学習2級インストラクター候補者推薦委員会」から平成12年9月11日付の文書が届いた。

 当財団が加盟しております文部省認可法人 財団法人社会通信教育協会で開設されました生涯学習インストラクター資格制度についてお知らせし、あなたを「生涯学習2級インストラクター」資格取得候補者として推薦することになりました。

 財団法人社会通信教育協会認定資格「生涯学習インストラクター」の「案内書」と「生涯学習2級インストラクター資格認定申請書」が同封されていた。

 申請手続きは平成12年10月27日まで必着となっていたが、平成12年9月15日に「資格認定申請書」を財団法人実務教育研究所へ提出した。

 平成12年12月1日付で財団法人社会通信教育協会から「生涯学習2級インストラクター認定書」と「生涯学習2級インストラクター証」が届いた。

 「生涯学習」の方が一段落をしたので、ライフワークである速記学の学習を再開した。

 速記学に夢中になっている間に「生涯学習ボランティアコース」で学習をした内容をなるべく忘れないように、思い出したときに「報告課題」を取り出して読んでいた。

 

生涯学習インストラクター特別講習を受講

 平成13年10月3日に財団法人実務教育研究所から、我が国における生涯学習社会構築のリーダーをめざす文部科学省認定「生涯学習指導者養成講座/生涯学習1級インストラクター養成のための特別講習」の「受講案内書」が届いた。

 この「特別講習」は、「財団法人実務教育研究所」が資格認定機関である「財団法人社会通信教育協会」より指定を受けて実施する唯一の通信制講習であり、第1期生の募集でもあった。

 受講資格は、文部科学省認可法人 財団法人社会通信教育協会認定資格「生涯学習2級インストラクター(生涯学習)」の有資格者に限られていた。特別講習の期間は、平成13年11月1日から平成14年2月28日までの4カ月間であり、申し込み期限が平成13年10月26日までだった。さらに2カ月間の学習延長も認められていた。

 「レポート課題」が4回とも合格をすると履修証の交付を受けて「生涯学習1級インストラクター(生涯学習)」の資格申請ができた。

 私はこのとき躊躇したが、期間限定の特別講習となれば、次回の「特別講習」はいつになるかわからないので、とりあえず申し込んだ。

 教材は4回に分けて届いた。平成13年11月2日に1カ月目の「教材」と「第1回レポート課題」が届いた。

 「生涯学習インストラクター特別講習ガイドブック」には“学習計画の立て方”について書かれていた。

 1カ月目から3カ月目の標準的な学習計画は

  1日〜15日……学習

  16日〜25日……レポート課題を作成

  各回ごとのレポート課題を提出する

 4カ月目の標準的な学習計画は

  1日〜15日……まとめ

  16日〜25日……レポート課題を作成

  4回目のレポート課題を提出する

と書かれていた。また“レポート課題について・書き方”には

 (1)レポート課題について

 レポート課題は、所定の教材についての学習の理解度を確認することと、講習生の設定課題についての考え方、方法について発表してもらうことにあります。

 レポート課題のうち、第1回から第3回までは前者の内容を、第4回は後者の内容を主としています。

 (2)レポート課題の書き方

 @手書きで書かれる場合は、レポート課題の用紙を使用してください。

 A筆記用具は鉛筆でも結構ですが、濃く読みやすい文字で書いてください。

 Bパソコン使用の場合は、B5判用紙に横書きで印字し、レポート課題と同封してください。

 C字数はレポート課題の指示に添ってください。

 Dレポート課題の作成に当たっては、講習生が理解された範囲で作成してください。レポート課題の性格上、質疑応答制度はありません。

 Eパソコン使用の場合は、用紙に講習生番号・氏名を明記してください。

と書かれていた。

 各回の「レポート課題」は教材到着後1月以内という提出期限が決められていた。

 それでは、「特別講習」で使用をされた教材の内容と、私の学習経過について感想を交えて書いてみたい。

 

1カ月目(平成13年11月)

 @生涯学習インストラクター特別講習ガイドブック(A4判 13ページ)

 A生涯学習インストラクター指導の手引き(A4判 31ページ)

 学習プログラムの全体計画、指導目標と展開の過程、学習指導の形態、指導の実際についての手引書。

※1回目はそのまま読み、2回目に内容を「速記」に置きかえて読むと、速記学校の授業とは全く違った面から参考になった。

 B生涯学習推進活動事例集(第1集)(A4判 102ページ)

 全国各地で生涯学習推進に携わっている15名の活動事例を、より具体的に実践的に述べている。

※「第1集」及び「第2集」は、各分野の活動事例が掲載されているので、内容を「アマチュアの速記教育」に置きかえて読むと参考になった。

 C第3回生涯学習インストラクター全国大会報告書(抄録)(A4判 55ページ)

 平成12年2月に実施の全国大会の報告書の抜粋。

※生涯学習インストラクター全国大会の概要が大体つかめた。

 第1回レポート課題提出

 第1回レポート課題は「生涯学習推進活動事例集(第1集)」を読んで、事例発表者の中から2名を選び、次の2点について記述してください。

 1.2名の事例の要旨。

 2.ご自身の生涯学習推進活動の内容、方法と上記2名の事例とを比較、関連させてのご感想。なお、今後、生涯学習推進に携わりたいとお考えの方は、このような内容方法で生涯学習を推進したい旨の抱負字数は700字以内。

 まず「生涯学習推進活動事例集」を読みながら、15名の中からだれを選ぶかを考えた。

 私は、どのようにまとめようかと考え込んでしまった。私はこういうレポート形式のものは苦手である。

 私が考えていることと、審査委員会で考えていることが一致をするかどうか考えていた。平成13年11月24日に2カ月目の「教材」と「第2回レポート課題」が届いた。

 第2回レポート課題には記述の見本が出ていたので、参考にしながら第1回レポート課題を作成して11月29日に提出をした。

 2週間以内で「学習記録表」が返送されてくるはずなのに、正月が過ぎても届かなかった。年末の郵便事故も考えられたので、1月7日に「生涯学習インストラクター特別講習部」へ問い合わせた。1月12日に返事が来た。第1回レポート課題が12月7日に合格をしていたので、「学習記録表」も再発行をしていただけた。

 

2カ月目(平成13年12月)

 @第4回生涯学習インストラクター全国大会報告書(抄録)(A4判 43ページ)

 平成13年2月に実施の全国大会の報告書の抜粋。

 A生涯学習推進活動事例集(第2集)(A4判 98ページ)

 全国各地で生涯学習推進に携わっている16名の活動事例をより具体的に実践的に述べている。

 第2回レポート課題提出

 第2回レポート課題は「生涯学習推進活動事例集(第2集)」を読んで、あなたが今後の活動の参考にしたい事例について、事例発表者を4名選び、4名各々の参考になった事例個所を要約して記述してください。総字数は560字以内。

 記述の見本がついているので参考になった。

 1人の記述を140字以内にすれば4人で560字におさまるので、12月中には作成が終わっていた。1月12日に「学習記録表」が届いたので早速提出をした。

 平成13年12月21日に3カ月目の「教材」と「第3回レポート課題」が届いた。

 

3カ月目(平成14年1月)

 @「総合的な学習の時間」のための学社連携・融合ハンドブック(A4判 206ページ)

 平成14年度から学校の教育課程が変わる。みずから学び、みずから考える教育へと転換が図られることになり、そのような教育を具体化する時間として「総合的な学習の時間」が本格的に始まる。本テキストでは、「総合的な学習の時間」を進めるに当たって、不可欠な学社連携・融合のノウハウ、アイデア、ヒントを総合的に提供する。そして、「総合的な学習の時間」の理解、技術、実践事例をわかりやすく具体的にまとめている。

※ページ数が多いので、かなり読みごたえがあった。

 A文部科学省資料・生涯学習審議会等の答申資料(抄録)(A4判 95ページ)

 生涯学習関係の最近の文部科学省資料及び生涯学習審議会等の答申資料をまとめた抜粋。

 第3回レポート課題提出

 第3回レポート課題は、

 〔レポート課題T〕『「総合的な学習の時間」のための学社連携・融合ハンドブック』を読み、次の文章のうち『「総合的な学習の時間」のための学社連携・融合ハンドブック』の記述と矛盾をしないものには〇印、矛盾するものには×印を回答欄に記入しなさい。(8問)

 〔レポート課題U〕『生涯学習審議会等の答申資料(平成11年6月9日)「学習の成果を幅広く生かす(抜粋)」』を読み、次の文章のうち『生涯学習審議会等の答申資料(平成11年6月9日)「学習の成果を幅広く生かす(抜粋)」』の記述と矛盾しないものには〇印、矛盾するものには×印を回答欄に記入しなさい。(4問)

 これは1月15日に作成をした。1月24日に「学習記録表」が届いたので提出をした。

 平成14年1月30日に4カ月目の「第4回レポート課題」が届いた。

 

4カ月目(平成14年2月)

 第4回レポート課題提出

 第4回レポート課題には「レポート課題提出」専用の原稿用紙(1行18字×20行)が15枚入っていた。

 課題1 現在、生涯学習に携わっている方は、

 その活動内容、方法について記述し、今後の改善点や抱負について記述してください。

 課題2 現在、生涯学習に携わっていない方は

 「生涯学習推進活動事例集第1集、第2集」を参考にして、このような内容方法で生涯学習を推進したい旨の抱負について記述してください。

 字数は(1行18字×20行)10枚以内。

 指定字数の3,600字以内で、レポート課題の作成をしなければならなかった。

 第4回レポート課題は、パソコンの場合は1枚目に「第4回レポート課題 課題〇、住所、名前、電話番号、講習生番号 SA1−11−〇〇〇」を印字することになっていた。

 レポート課題の内容は大体、私がある程度の予想をしていたとおりだった。私は「課題2」を選んだ。最初に、3,600字の文書ができるかどうかという不安がつきまとった。

 何をどのように書けばよいのだろうかと考えて「生涯学習推進活動事例集」を再読しながら、ない知恵を絞っていた。

 レポート課題の提出期限は2月28日までだった。1月31日に、私の専門分野である「速記」を題材にすれば何とかまとまるだろうと思いついた。

 私が今まで速記界でいろいろと学習を続けてきたことを、字数を3,600字以内に限られたレポート課題で「生涯学習における速記教育」をどのように展開させるべきかを考えた。

 そこで「私が公民館で速記講座を開講する」という状況を設定した。大体の構想は、

 はじめに/アマチュア速記について/公民館「速記講座」における指導方法/今後の抱負/などである。

 レポート課題を読む「審査委員会」では、速記に関して詳細を知らないから、最初に速記の説明から入った。

 100行のレポート課題中、特に『アマチュア速記について』には33行を使った。従来の速記に対するイメージを変える必要があった。学習程度における速記の利用方法を強調した。

 『公民館「速記講座」における指導方法』では、1期間を6カ月間に設定して週1回で2時間にした。24回で48時間の内容となれば、指導をする速記法体系は基本文字(清音、ン、濁音、半濁音、長音、詰音、拗短音、拗長音)程度である。速記学校の授業では約1カ月分の内容である。

 参考までに、私が東京・中根速記学校の通信教育「本科課程」を受講して、6カ月の学習期間中で、実際に学習をしたのは修了試験を含めて正味7日間だけである。これは私の2日目の学習内容でもあるが、私の学習内容を基準にすること自体が特例であり、一般の学習者に対しては適用ができない。中根式の基本的な法則(理論体系)を学習しただけであり、実際に書く練習をしていない。

 学習者が自宅で復習をしないことも想定をしている。これは一般の速記学習者には覚える負担を少なくした無理のない指導計画である。

 1カ月目の1回から6カ月目の4回までの指導計画における概要を書いた。この辺は指導経験がなければ具体的なことが書けない。

 第1次原稿の入力が終わった段階で、何とか予定の字数になった。画面上で校正をしたり推敲を繰り返した。何回も内容を書きかえた部分もあった。途中で何回も行数がはみ出したので、行数を調整しながら作成をしていた。

 3回目の出力をして校正をしながら、「私の速記に対する考え方も含めて、国語力や文章力などを試されている」のではないかと思えてならなかった。これは余りにも私の考え過ぎだろうか。

 財団法人実務教育研究所では「校正実務講座」を開講しているので、原稿の校正は何回も行った。校正ミスはなかったと思うが……。

 2月6日に「学習記録表」が届いたので、出力をしてレポートを提出した。再提出になれば、2週間以内に戻ってくるから、早目に提出をした。

 「学習記録表」には提出年月日が残っているので紹介をしてみたい。

          レポート課題提出日 学習記録表返送到着日

  第1回レポート 平成13年11月29日  平成14年1月12日(※郵便事故による遅れ)

  第2回レポート 平成14年1月12日   平成14年1月24日

  第3回レポート 平成14年1月24日   平成14年2月6日

  第4回レポート 平成14年2月6日

  修了認定    平成14年3月1日

 平成14年3月1日に第4回レポート課題が合格をして、「学習記録表」と「履修証」が3月7日に届いた。

 また財団法人社会通信教育協会認定資格「生涯学習1級インストラクター」の「案内書」及び「生涯学習1級インストラクター資格認定申請書」も同封されていた。

 財団法人実務教育研究所「特別講習審査委員会」から、平成14年3月4日付の文書も届いた。

 あなたは、このたびの特別講習の修了により、財団法人社会通信教育協会認定資格「生涯学習1級インストラクター(生涯学習)」の資格認定申請の各要件をすべて満たしました。ここに「生涯学習1級インストラクター(生涯学習)」の適格な方として推薦いたします。

 申請手続きは平成14年3月27日まで必着となっていたが、平成14年3月7日に「資格認定申請書」を財団法人実務教育研究所へ提出した。

 平成14年5月1日付で財団法人社会通信教育協会から「生涯学習1級インストラクター認定書」と「生涯学習1級インストラクター証」が届いた。

 

生涯学習指導者養成講座を修了して

 私が「生涯学習指導者養成講座」を修了して感じたことは、生涯学習指導者としての活動が広範囲なことである。特定分野の指導者と違って、指導分野が生涯学習全般に及んでいる。生涯学習の観点から見れば「速記」は生涯学習の一部分に過ぎないと考えている。

 私が昭和40年7月2日に「速記」を学習したときには、ただおもしろいという興味しかなかった。いつの間にか速記にはまり、いまだに速記界から抜け出せないでいる。

 「生涯学習」も「ボランティアコース」を修了したときには、おもしろいという興味だけで、私自身は「生涯学習2級インストラクター」としての意識が低かった。

 「特別講習」を受講して「第1回レポート課題」を見てから「エライものに手を出してしまった」と後悔をしていたが、すぐに気を取り直して悪戦苦闘をしながら、ようやく最後の「第4回レポート課題」を提出した。

 また「第1回レポート課題」が郵便事故でつまづき、予定の学習計画が大幅に狂っていたが、「第2回レポート課題」は年末に作成が終わっていたので、「学習記録表」が届くとすぐに提出をした。「第3回レポート課題」も、1月15日に作成が終わっていたので「学習記録表」が届くとすぐに提出して、遅れた提出期限を縮めることができた。

 「第4回レポート課題」は、提出期限の2月28日よりも早目に提出ができた。

 私は「生涯学習インストラクター特別講習」が終わり一息つけると思っていたが、同時に「生涯学習」にもはまっていた。

 我々速記関係者は、速記を学習した時点で特定分野における「生涯学習」を無意識で実践してきたのではなかろうか。

 私自身が速記に関する学問的な分野(速記史、速記教育、速記学、速記法研究等々)を長期間にわたり、いろいろな文献を収集しながら学習を続けてきたことは「特定分野における生涯学習」ではないかと思っている。私が速記を学問的に追求していたら、いつの間にか生涯学習にたどり着いていた。

 また「特別講習」を修了してから、生涯学習についての全体像がはっきりと見えてきた。私自身が「生涯学習1級インストラクター」としての意識が高くなっており、アマチュアの速記教育に対する考え方も向上していた。

 速記指導者はアマチュアの速記教育を考える上でも「生涯学習」についての基礎的な知識が必要なことは言うまでもない。我が国の速記界では、「速記教育=プロ速記者の養成」に力を入れてきた。民間の速記教育機関では、同時にアマチュア速記にも力を入れてきたが、いまだにその実態が把握をされていない。

 我が国の速記界は120年という輝かしい歴史を持っており、速記はもはやプロ速記者の専有物であってはならない。速記は日本文化の知的な財産でもある。我が国の速記界は生涯学習の観点から「アマチュアの速記教育」を見直す必要がある。

 速記は単なる言語をとらえるための「道具や手段」という思想から一日も早く脱却をすべきである。生涯学習の観点から速記は「学問、教養、趣味」という思想を根底に持っておくことが必要である。

 我々速記関係者は、学習者の習得程度に応じた速記の利用方法が十分にあることを、学習者に対して積極的に指導をしなければならない。今までの速記教育は、この辺のところが欠如していたのではないかと考えている。

 今後の課題は、「生涯学習指導者養成講座」で得た学習成果を生かして、「生涯学習における速記教育」をどのように展開をしていくかである。

 

「生涯学習」関係の用語について

 それでは「生涯学習」関係の基本的な用語などを「生涯学習指導者養成講座」の「生涯学習用語集」(A5版 98ページ 1998年)から引用してみたい。

 

生涯学習

 生涯を通じて人間的、社会的、職業的発達のために行われる学習のことをいう。生涯学習と生涯教育はよく混同して使われるが、中央教育審議会答申『生涯教育について』(昭和56年)では、これらを次のように区別している。「今日、変化の激しい社会にあって、人々は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、各人が自発的意志に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手段・方法は、これらを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。その意味では、これを生涯学習と呼ぶにふさわしい。この生涯学習のために、みずから学習する意欲と能力を養い、社会のさまざまな教育機能を相互の関連性を考慮しつつ総合的に整備・充実しようとするのが生涯教育の考え方である」。なお、臨時教育審議会の答申では、学習者の観点に立って教育の見直しを行うということから、生涯教育という言葉はすべて排され、生涯学習という言葉のみが使われた。→生涯教育

 

生涯教育

 生涯にわたって人間的、社会的、職業的発達を図る教育の総称。今日言われる生涯教育は、従来の学校教育、社会教育、家庭教育などに新たに登場してきたそれ以外の教育機能も加えて、教育の再編成を行うべく提唱された。学校教育のような明確な対象を指し示す用語ではなく、さまざまな教育活動を統合するシステムとして主張されることが多い。統合には生涯にわたる垂直的(時間的)統合と、あらゆる学習機会の水平的(空間的)統合とが考えられている。

 生涯教育は、生涯にわたって国民の学習を管理する主張である。学校教育の生産化を推し進める主張である、などという生涯教育論への批判もある。この批判を思想的に堅持しようとする立場から、生涯教育ではなく「生涯学習」を主張する場合もある。最近では生涯教育(lifelong education)とほぼ同じ意味で生涯学習(lifelong learning)を用いることが多い。厳密に両者を区別するならば、生涯にわたる自発的で自立的な学習が生涯学習であり、これを組織的に援助する教育が生涯教育ということになる。→生涯学習

 

専門的指導者

 学習活動の指導者(講師・助言者など)がその学習内容についての専門家であるとき専門的指導者という。例えば、テニスのコーチ(指導者)がプロであったり、アマチュアであってもテニスの知識・技術に精通している場合には専門的指導者である。→特技ボランティア

 

特技ボランティア

 特定の知識や技術を、ある一定の水準以上に保っている個人や集団が行うボランティアのこと。善意と時間があれば、だれでも参加が可能という種類のボランティアとは異なるため、常時人員や水準を保っておくことが難しいという面がある。→専門的指導者

 

学習ボランティア

 市民の知識・技能・社会的態度などの向上を求めて行われる学習について、指導や助言・援助をするボランティアのこと。学習ボランティアの概念は幅広く、生涯学習関係のボランティアはすべて学習ボランティアに含まれる。

と書かれている。

 

 生涯学習の観点から、アマチュアの速記教育を考察すると、「学習ボランティア」「専門的指導者」「特技ボランティア」というすべての要素が含まれている。

 現在、全国の都道府県及び市町村の教育委員会では生涯学習の推進に力を入れている。

 それでは、財団法人社会通信教育協会(〒170−0003 東京都豊島区駒込3−23−11)及び財団法人社会通信教育協会認定資格「生涯学習インストラクター制度」について簡単な紹介をしてみたい。(「生涯学習インストラクター特別講習」“ガイドブック”より)

 財団法人社会通信教育協会は、昭和34年に文部省(現在の文部科学省)の認可を受けて設立された公益法人です。同協会は社会教育法第51条で定める文部科学省認定社会通信教育の普及と、その向上を図るための啓発活動や調査研究等の諸事業を展開しています。

 同協会は、文部科学省認定社会通信教育を実施する、学校法人、社団法人、財団法人の30団体で構成されています。なお、各団体で実施している文部科学省認定社会通信教育講座は、事務系、技術系、生活技術・教養系合わせて139コースです。

    参考までに「速記」は技術系ではなく、事務系に含まれている

 

 

生涯学習インストラクター制度について

 財団法人社会通信教育協会認定資格「生涯学習インストラクター」の案内書から紹介してみたい。

 生活や趣味も多様化し、余暇時間がふえ、高齢化が進む社会では、ますます生涯学習の必要性が高まってまいりました。行政面では、中央教育審議会「生涯学習の基盤整備について」、生涯学習審議会「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」、生涯学習審議会「学習の成果を幅広く生かす」等の答申を受け、本格的な生涯学習社会に対応する体制を整えつつあります。

 なお、生涯学習審議会答申「学習の成果を幅広く生かす」では、

 「学習成果についてのさまざまな評価システムの促進……学習成果としての知識や技術についての客観的評価や証明のシステムがあれば、人材を登用したり、活用したりする際の手がかりになり、学習者としてみずからの成果の活用につなげられることは確かである。……現在でも、公益的な団体・協会において、関係する学習分野の領域に応じて、何らかの評価の仕組みが運営され、それによって学習者が地域社会での活動に参加しやすくなっている例がある。例えば、財団法人社会通信教育協会「生涯学習インストラクター」認定制度である。いずれにしても、行政自身が直ちに学習者の学習成果や能力を一般的に評価することは実際上難しいところから、行政としては、それぞれの分野において行われる団体等の独自の能力評価システムを支援し、希望する学習者に対し、そうしたシステムのあることを情報提供したり、学習成果のある人を受け入れる意向のあるところに能力評価の1つとして活用し得ることを紹介したりすることが適当であると考えられる。」と、取り上げられ、行政側の本制度への協力・支援がうかがわれます。

 このような時代の要請にこたえて、財団法人社会通信教育協会では、文部科学省認定社会通信教育講座修了生、財団法人社会通信教育協会認定講座修了生の学習成果を評価認定し、全国各地の地域における多様な生涯学習活動を支援・指導する人材の養成を図るために、文部科学省の助成を得て「生涯学習インストラクター」認定制度を平成4年3月開設したものです。この機会に、より多くの方々に財団法人社会通信教育協会認定資格を取得し、生涯学習の推進者として活躍されることを期待しております。

 なお、「生涯学習インストラクター」認定制度には、生涯学習2級インストラクター認定資格と生涯学習1級インストラクター認定資格があります。

 生涯学習2級インストラクター

 生涯学習活動における指導者を補助します。

 生涯学習1級インストラクター

 生涯学習活動における指導者です。

 生涯学習2級インストラクター及び生涯学習1級インストラクターの有資格者は、それぞれの依頼に応じて次のようなところで活躍することができます。

 

生涯学習2級インストラクター

 @都道府県教育委員会が主催する文部科学省認定社会通信教育受講者研究集会において、教育委員会の委嘱に基づき行う指導補助または支援活動等。

 A都道府県または市町村教育委員会が主催する各種学習会、学級活動、公開講座等において、教育委員会の委嘱に基づき行う指導補助または支援活動等。

 B生涯学習センター、公民館等で行われる住民の自主的な学習活動等の指導及び支援活動等。

 C青少年教育施設、婦人教育施設等において行われる青少年団体あるいは婦人団体の主催する学習活動、グループ活動、野外活動等の指導、助言及び支援活動等。

 D図書館や博物館において行われる諸活動への協力。

 E企業や団体が行う各種講習会、学習会における指導、助言及び支援活動等。

 

生涯学習1級インストラクター

 @都道府県教育委員会が主催する文部科学省認定社会通信教育受講者研究集会において、教育委員会の委嘱に基づき行う指導または支援活動等。

 A都道府県または市町村教育委員会が主催する各種学習会、学級活動、公開講座等において教育委員会の委嘱に基づき行う指導または支援活動等。

 B生涯学習センター、公民館等において行われる住民の自主的な学習活動等の企画立案並びに指導または支援活動等。

 C青少年教育施設、婦人教育施設等において行われる青少年団体あるいは婦人団体の主催する学習活動、グループ活動、野外活動等の企画立案並びに指導、助言及び支援活動等。

 D図書館や博物館において行われる諸活動への協力。

 E企業や団体が行う各種講習会、学習会の企画立案並びに指導、助言及び支援活動等。

と書かれている。

※「生涯学習インストラクター」の申請手続きでは、申請時の年齢が2級は満18歳以上の者、1級は満25歳以上の者と定められている。

 財団法人社会通信教育協会発行の「生涯学習インストラクター機関紙」17号(平成15年1月6日発行)には、

 平成4年3月に「生涯学習インストラクター」制度が、発足して以来、平成14年8月1日現在で、18,158名が登録をしているその内訳は、「生涯学習1級インストラクター」は2,944名、「生涯学習2級インストラクター」は15,214名である。

 登録指導分野は、書道、ペン習字、英語、パソコン、園芸、盆栽、写真、孔版、校正、生涯学習、服装、トレース、宅建、食品衛生管理、採鉱地質、簿記、きもの、栄養と料理、マネジメント全般、企業会計、中小企業診断士、編物手芸、レタリング、社労士、経営労務、旅行主任者、古文書、俳句等と書かれている。

 残念ながら「速記」は書かれていない。

 「生涯学習インストラクター」の登録者を都道府県別で見ると、第1位は東京都の2,294名、第2位は神奈川県の1,498名、第3位は千葉県の1,236名、第4位は埼玉県の1,194名、第5位は愛知県の889名、第6位は大阪府の886名、第7位は兵庫県の740名、第8位は北海道の700名、第9位は静岡県の619名、第10位は福岡県の593名である。一番少ないのが鳥取県の49名である。

 

終わりに

 参考までに、早稲田通信教育センターで行っている「早稲田速記講座/全科コース」を修了すれば「生涯学習2級インストラクター(速記)」の資格申請ができる。

 この制度では「生涯学習1級インストラクター(速記)」の資格もある。

 現在、全国に「生涯学習2級インストラクター(速記)」の有資格者が3人いる。

 私ならば「生涯学習2級インストラクター(速記)」の資格申請をして、さらに「生涯学習1級インストラクター(速記)」の資格申請をしている。

 

生涯学習関係参考文献

1.文部科学省認定社会通信教育「生涯学習指導者養成講座/生涯学習ボランティアコース」“受講案内書”及び“テキストT〜Y”(財団法人実務教育研究所)

2.財団法人社会通信教育協会認定資格「生涯学習インストラクター」案内書(財団法人社会通信教育協会)

3.文部科学省認定社会通信教育「生涯学習指導者養成講座/生涯学習インストラクター特別講習」“受講案内書”及び“テキスト”(財団法人実務教育研究所)

.「生涯学習インストラクター機関紙」第17号(平成15年1月6日発行、財団法人社会通信教育協会人材バンク委員会)