速記雑感バックナンバー 「テキストの作成」


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 その1 

■■ 2004/01/15 (Thu)

 速記のテキストを作成する場合は、目的によって下記のものがあります。

1.指導者用
 指導者が速記法則、練習問題、文例などを指導できるように詳しく説明したマ ニュアルです。

 「速記法編」には各法則の詳細な説明及び文例、練習問題などを掲載します。
 また、速記法則は学習者用のテキストに準拠して作成します。

 「速記法指導編」には、具体的な毎日の「指導計画」を掲載します。その日に 指導する内容が書いてありますので、時間配分の参考にします。
 法則体系及び指導計画は、プロ用及びアマ用の2種類を組んでおきます。

 「資料編」には、速記に関したいろいろな文献等々、指導者として知っていな ければいけない内容のものを掲載します。内容的には、学習者に指導をしなくて もよい内容も含まれております。

 「速記法編」「速記法指導編」「資料編」は別冊で作成します。 


2.学習者用
 学習者がいろいろな方法で学習できるように作成をしたものです。学習者用の テキストには、下記のものがあります。

1)独習者用
 速記を独習できるように、速記法則、練習問題、文例等、学習方法、速度練習 の方法を豊富にしたものです。

2)通信教育用
 独習者用のテキストとほぼ同じですが、「通信添削指導」がついているかどう かの違いです。
 ほとんどの方式では通信教育用のテキストは、独習ができるように作成されて おります。

3)速記学校/速記塾/速記教室用
 速記法則と、簡単な文例だけをまとめた簡単なテキストです。
 指導者が授業中に法則の説明をしたり、文例などを黒板/ホワイトボードに速 記文字を板書、あるいは口頭で説明をします。

4)講習会用
 1日講習及び2〜3回に分けた講習会で使用する入門書です。基本文字表と2 〜3枚の文例だけのものです。




 その2 

■■ 2004/01/16 (Fri)

 速記のテキストは、市販本(現在では少なくなりましたが)及び通信教育のテ キストなどでは、その方式の法則体系を全部掲載しているわけではありません。

 比率は、速記方式によって異なりますが、中根式に関して書きますと、約半分 ぐらいです。

 中根速記学校で指導をしている法則体系を100としますと、中根洋子著「中根 式 速記の基本教程」では約50ぐらいです。
 また中根正世著「中根式速記」(昭和27年版)でも約55〜60ぐらいです。

 速記学校時代に、恩師いわく
 「教科書をつくったら、みんなが覚えないからつくらない」
と……。なるほど、確かに一理あります。で、恩師はどのように速記法則を指導 していたかと言えば、専用のノートを見ながら、口頭で速記法則と速記文字を説 明をしたり、板書をしておりました。

 余談になりますが授業が終わってから、同期生3人が集まって「先生からノー トを借りて写せないだろうか」と、相談をしたことがあります。相談だけでだれ も実行をするほど勇気がある?生徒はおりませんでした。

 全速記法則が掲載されているテキストは、生徒にとっては覚えるかどうかは別 にして、魅力的なものです。ノートをとる手間が省けます。

 逆に、全法則体系を掲載された分厚いテキストを先に渡されたら、「こんなに 覚えるのか」というため息が出てもおかしくないと思います。

 少ない法則のテキストを渡されて、授業で「次の授業では、どんな法則を習う のだろうか」という、楽しみもあります。まず、こういう生徒は少ないでしょう ね。

 当然のことですが、新しい速記法則を指導するという、予告はありませんので、 授業を休むわけにはいきません。

 どうしても、授業に出席できなかったときには、同期生に新しい法則を習った かどうかを確認してから、ノートを借りて写します。ここはふだんからの人間関 係が大切です。

 男性のノートは当てになりませんから、女性のノートを借ります。男性は勝手 に速記文字をつくる習性があります。ほとんどの女性は習ったとおりにしか速記 文字を書きません。

 逆の場合もありますので、同期生同士で休んだ生徒には前日習った速記文字を 授業が始まる前に教え合うこともありました。 




 その3 

■■ 2004/01/17 (Sat)

 「テキストの作成 その2」で、「教科書をつくったら、みんなが覚えないか らつくらない」と、書きましたが、それに関連して一言。

1.教科書に掲載されている法則が、半分であり、もっと詳しく知りたかったら 速記学校に入学するか、中根式の指導者について速記の指導を受けるしかない。

2.基本的な法則だけを教科書に掲載し、時代とともに言葉の変化により法則体 系を変えたり、後に法則の新設や廃止をするために、教科書を作成しないという 速記的発想(省略)で、最小限度のものだけを印刷しておくという合理的な?考 え方。

 さて、どちらでしょうか。悪い方に解釈すれば「1.」の方ですが、よい方に 解釈すれば「2.」の方です。

 中根式は、創案当初から「国民皆速記」を標榜している方式ですから、答えは 「2.」の方です。

 何年かごとに新しい教科書を作成すれば、

1.在庫を抱える。
2.新旧の法則体系が存在する。
3.法則体系的に矛盾ができて指導がしにくい。

という点が上げられると思います。
 特に速記学校の場合は、毎年生徒が入学をしますし、詳細な教科書を作成する と急に体系を変えることができませんので、最小限、基本的な法則体系だけを掲 載して、他の速記法則は時代とともに変更できるようにしております。

 基本的な法則体系だけですと、法則を新設・廃止しても法則体系的には柔軟に 対応ができますから大きな影響がありません。




 その4 

■■ 2004/01/18 (Sun)

 テキストを作成する場合には、いろいろな問題にぶつかります。

1.法則体系における文例の量。
 法則体系の文例で基本形と変化形、関連する速記文字です。基本形と変化形と の組み合わせで、ある程度のところで内容を裾切りしなければなりません。
 言葉は膨大にありますので、全部の言葉に対して速記文字を掲載すると膨大な ものになります。

2.他法則との抵触。
 新しい法則は、既存の法則と混在しますので、法則的な矛盾を生ずることも考 えなければいけません。

3.法則の有効活用。
 新しい法則の融通性、他の速記文字との類似性。速記文字の読みやすさ・書き やすさも含まれております。

4.改訂版の作成。
 毎年、改訂版を作成することは作業が大変ですから5年から10年に1回の作業 が理想的です。

5.「法則を優先」か「書きやすさの優先」
 従来の中根式は少ない法則で構成されておりますが、法則が少ないと、速記文 字の簡略化はできません。

 速記文字を簡略化するには速記法則をふやさなければなりません。速記法則を ふやせば複雑な法則体系になります。
1)複雑な法則体系を運用して速記文字の簡略化を図る。
2)少ない法則体系で画数の多い速記文字を書く。
 速記法則を覚えることに苦痛を感じるかどうかです。速記文字を簡略化するに は、避けて通れない道です。
 同じものを楽に書くかどうかです。

 テキストを作成する場合には、「このテキストで指導をする」という意気込み が大切です。すぐに使うかどうかは別にして、いつでも使用できるテキストを準 備しておきます。

 自式の法則体系を熟知しておくことも大切です。速記界には「法則体系オタ ク」がいるかどうかわかりませんが、普段から同じ方式のいろいろな文献等を収 集することが必要ですし、自分で好みの速記法則体系を組み立てることができな ければいけません。

 特に指導者の場合は、自分で法則体系を組み立てて、自分で指導しやすいテキ スト作成ができなければいけません。 


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